2011年6月11日土曜日

平河町ミュージックス第9回公演    CANTUS カントゥス  かさなる声“ガーリー”な声  を聴いた

静けさの中に、歌声がそよいだ。
モーリス・デュリュフレ作曲「トータ・プルクラ・エス/すべてが美しいお方」
さわやかな風が吹き抜けたようだった。













グレゴリオ聖歌「アヴェ・マリア」がはじまると、
ひとりひとりが四方に歩き出す。
白い空間に点々に散らばり、かさなりあう声。
今までに聴いたことのないゆらぎのある響きに
鳥肌がたつ。



MIHO、HIRO、RINA、YOU、MAKA、MIWAが椅子に戻り、
メンバー紹介。






まだ幼い頃に東京少年少女合唱隊で出会い、大人になり再会。
この場所にいることの不思議を感じる。


グレゴリオ聖歌「キリエ」
透き通った歌声が白い空間を支配した。
目を閉じれば、おおきな教会の中にいるようだ。






グレゴリオ・アレグリ作曲「ミゼレーレ」
交互にうたいかわされる二つのパートが
中二階につづく階段にならんで
立体的な響きを紡ぐ。






中二階から歌声が降りてくる。
チャールズ・ヴィラーズ・スタンフォード作曲「ブルー・バード」
聴衆の多くは目を閉じ、歌声に身をまかせた。








闇のなかに2つの明かりが灯され、後半がはじまる。
ペロティヌス作曲「ヴィデルント・オムネス」
幻想的な暗闇が無垢な歌声のうつくしさに磨きをかける。




カントゥスの委嘱により一ノ瀬響が作曲した「Love celestial」
リハーサルで一ノ瀬はカントゥスに語りかけていた。
「ここは、コンサートホールと違い、聴衆が近いので、
ことばのひとつひとつの音をはっきりうたおう」と。


一ノ瀬は椅子に深く体をあずけ、その音を聴いていた。






アンコールのなかでサプライズがあった。
平河町ミュージックス実行委員会のメンバー二人の婚約に対する
お祝いの気持ちがカントゥスの歌声になって響いた。






暗く内向的なイメージを伴いやすい教会音楽がこんなにも綺麗な旋律に
あふれていることを、多くの人に知ってもらうための「ファースト・ドア」
になりたいとカントゥスは語っている。
少女のまま大人になったような美しく純粋な歌声、
この歌声にのせれば、その願いは必ず叶うだろうと、
かさなる声を聴きながら、そう思った。


平河町ミュージックス実行委員会ワーキンググループ   木村佐近